悲しみの過去と決別するために、走って、走って、走り続ける。昨季、チーム盗塁数33は最少31だった
DeNAを2つ上回るだけのワースト2。1試合当たり0.275個は、ナゴヤドーム(今季からバンテリンドームナゴヤ)を本拠地とした1997年以降でワーストだった。目を背けられない過去と決別できるかは、高卒4年目の高松渡の脚にかかっている。
俊足が売りで入団した。50m5.8秒で、滝川二高時代に放った11本塁打のうち、9本がランニング弾。ダイヤモンドを駆けずり回ってプロの門をたたいた。
一軍は一昨季に2試合出場しただけ。昨季は出場なしだった。ただ、だ。ウエスタン・リーグでは一昨季の5盗塁から昨季11盗塁へ倍増させた。盗塁死は10から3へと大幅改善。「まずは勇気をもってスタートを切れるか。少しずつですが、自身をもってプレーできるようになりたい」と話す。
期待をかけているのは
荒木雅博内野守備走塁コーチ。「失敗してもいいから、トライしよう」と口酸っぱくしてきた。「彼は真面目。寄り添って、寄り添って、できるまでつき合おうと思っている」と語る。
歴代11位の378盗塁をマークした名球会員が、高松のそばに居る。指導者の言葉を受け止めて挑戦し、失敗の中からヒントを見つけて、「竜の周東(
ソフトバンク)」へと成長しなければならない。
チームは昨季、大島が16盗塁で、京田が8盗塁だった。2選手の奮起はもちろん必要。そこに高松の活躍が加わればチーム盗塁数は大幅増となる。まだ無名の高松渡。走った分だけ名前は上がる。
写真=BBM