恵まれた体を持ち、潜在能力は高い中塚
「ドラフト当たり年」と称賛される
西武の“2016年ドラフト組”が5シーズン目を迎える。今や球界屈指の名遊撃手・
源田壮亮(3位)はじめ、NPB歴代2位のシーズン登板数記録保持者・
平井克典(5位)、エース候補・
今井達也(1位)、若手成長株・
鈴木将平(4位)、昨季31試合登板の
田村伊知郎(6位)と、同期がいずれも絶大な存在価値を示している中、背水の陣で今季に挑むのが
中塚駿太だ。
大学まで、いわゆる“名門”で本格的な徹底指導を受けることなく最速157キロを計測。191センチ、105キロ(いずれもドラフト当時)の恵まれた体と潜在能力を買われてドラフト2位指名を受けたが、ここまでの4シーズンで通算9試合登板、防御率9.31と結果を残せずにいる。誰よりも危機感を抱いているのは本人だ。昨年末に行われた契約更改後の会見では、「今年で終わりだと思っていた」との正直な思いを口にしている。今季は間違いなく野球人生の大きな転機となるだろう。
形勢逆転への最大のカギは制球力だ。昨季の一軍登板は6試合だったが、自身にとっては過去最高の数字だったが「コントロールが良くなった」ことを実感。「去年までは上半身だけの手投げになっていた。でも今年(20年)は体全体を使って投げられているからだと思います」。ただ一方で、「二軍と違って、1試合での体力の消耗がものすごく大きい。1年間通してフォームを崩さず投げられる体力、精神面が必要」と制球力を安定させるための大きな課題も見つかった。
「本当の本当に勝負の年」と位置付ける21年。まず目指すのは、どんな役割でも、とにかく一軍での居場所を築くこと。そして、「いずれは(勝ちパターンの)森脇(
森脇亮介)さん、平良(
平良海馬)に追いつけるように頑張りたい」。秘めたポテンシャルを開花させ、ダイナミックな投球で自らの未来を切り開く。
写真=BBM