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ソフトバンク・井上朋也 指揮官を笑顔にさせた18歳ドライチ。未来の主砲へ、上々のスタート/新天地に懸ける

 

V10を果たすチームの中心にいるであろう井上。成長が楽しみだ


 大阪で生まれ育ち、高校時代は埼玉で腕を磨いたスラッガーが、新たに足を踏み入れた九州の地でプロ生活をスタートさせた。春季キャンプ第3クール最終日となった2月11日。ドラフト1位ルーキーの井上朋也が、いきなり大物ぶりを発揮した。同3位の牧原巧汰とともに、1日限定でA組(一軍)練習に参加。首脳陣の計らいで一軍の雰囲気を味わわせるための“体験入学”ではあったが、高校通算50発をマークした18歳は、午前中のフリー打撃でバックスクリーン右に打球を運ぶなど、44スイングで4本のサク越えを披露した。

 さらに午後からのシート打撃では、昨年の日本シリーズでも剛球を披露した3年目の杉山一樹を相手に5球連続ファウルで粘ると、6球目の150キロに食らいついた。フラフラと上がった打球は、遊撃手と三塁手が「お見合い」し、ラッキーな形ではあったが一軍相手の実戦形式で初安打をマーク。豪快なフルスイングを武器とする18歳の思い切りの良さに、工藤公康監督は「フリーもシートも、思った以上に自分のスイングができていた」と笑顔で才能を評価した。

 巨人超えの「V10」を狙う球団にとって、1日でも早く主力へと成長してほしい存在だ。昨季まで4年連続日本一中のチームだが、特に主力野手は今季38歳を迎える松田宣浩をはじめ年齢層が高く、若手野手の底上げは近年の大きな課題。高校生内野手の1位指名は2009年秋のドラフト、今宮健太以来11年ぶりで、王貞治球団会長も「スイングが鋭いし力強い。あれだけ振れるというのは大したもの。将来的にチームリーダーを目指してほしいよね」と大きな期待を懸ける。未来のスター候補は「すべての能力を伸ばせるよう練習したい」と、もちろんその思いに応えるつもりだ。

写真=湯浅芳昭
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