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楽天・田中将大 18.44メートルで発揮する闘争心/新天地に懸ける

 

かつてのエースが8年ぶりに戻ってきた


 やはり千両役者だった。2月7日、今季から古巣に復帰した田中将大が、春季キャンプで初のブルペン入り。投球練習を、そして一挙手一投足を報道陣が追った。無数のシャッター音が鳴り響く中、捕手の太田を座らせ40球を投げ込んだ。

 スライダーや宝刀スプリットなど、全球種を投げ込んだ。変化球は低めに集め、直球は内外角、さらに高低にも投げ分けた。特に変化球の制球力は圧巻の一言。クイックモーションを交えるなど、キャンプ初のブルペンとは思えない内容だった。

 見つめた石井監督も「一番感じたのは18.44メートルの空気感。たとえるなら闘牛士。牛に向かう部分で、打者と対峙するときの独特な緊張感を、練習のときから持ち合わせている特別な投手」と独特な表現で称えた。

 どの1球にも、明確な狙いを感じた。だからこそ首脳陣が思わず息をのんだ。球を受けた太田も「6、7割で投げられていたんですが、一つひとつ試合でどう使うか意図を持って投げている印象」と目を丸くした。

 昨オフにヤンキースをFAとなり、今季から楽天に復帰。日米の公式球の違いや、ブルペンの違いなどへの対応も課題とされるが、その違和感も生じさせない。本人は「(メジャー使用球と比較して)大きなズレはなかった」ときっぱり。軟らかいと言われる日本のマウンドにも「ほかはもう少し硬いと聞いていたので、ここ(金武町)で投げられていれば大丈夫かな」と淡々と語った。

 2月6日の合流初日、練習前のあいさつではナインに対して「気軽に、気軽に聞いてください」と呼び掛けた。その言葉どおりに連日、若手への助言も惜しまない。入団会見で自ら目標に掲げた「日本一」に向け、これほど頼もしい存在はいない。

写真=BBM
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