悩める助っ人砲が、ジワリジワリと実力を発揮し始めている。新外国人のクロンは、5月11日現在で25試合に出場し、打率.221、3本塁打、7打点。十分結果を残しているとはまだ言えないが、日本の野球に徐々に対応し始めてきているのは確かだ。
象徴的なシーンがあった。4月30日の
阪神戦(甲子園)で、4点を追う8回一死から代打で出場し、そこまでチームが打ちあぐねていた秋山拓己の外角カーブを完ぺきにとらえ、左翼スタンド中段付近まで豪快にかっ飛ばす3号ソロを放った。そこまでクロンは外角への変化球に苦しめられ、三振が重なっていた。しかし、「真っすぐを待って変化球に対応できたのは非常に良いサインだと思う」と本人が振り返ったように、手応えをつかんだ瞬間でもあった。
ベンチスタートでも、試合に全力で集中している。同阪神戦では秋山をベンチで研究していたという。「球速は速くないですけど、コントロールが良い。とにかく高めの球に意識を持っていって、そういう球が来れば振ろうと思っていた」と話していた。勉強熱心な助っ人は試合を重ねるごとに対応力を上げてきたのか、5月11日現在で三振数はチームトップの26ながら、3号を打って以降は、三振が減少傾向にある。
「チームの勝ちに貢献できるように、さらに上位に食い込んでいけるように、チーム一丸となってやっていきたい」
チームは波に乗りきれず、Bクラスに甘んじている。上位進出へ、クロンの爆発がカギを握っている。
写真=BBM