冷静な表情の奥に闘志を燃やす。丸佳浩はFAで広島から加入して3年目となった今季、苦しいシーズン序盤となったが、正念場で意地を見せた一戦がある。
5月3日の広島戦(マツダ広島)。丸は同点の2号ソロを含む2安打1打点1四球で3対2の勝利に貢献。「打った、打たないに関係なく、自分の中で試行錯誤しながらやっている」と淡々と振り返る様子は普段どおりだったが、実はスタメン落ちの危機が迫っていた。
前カードの1日の
中日戦(東京ドーム)で2打席連続三振で途中交代。その前日も2三振、2併殺と苦しんでいた。4月4日に新型コロナウイルスの陽性判定を受けて10日間入院し、急ピッチで調整して4月23日の広島戦(東京ドーム)で一軍に復帰。一時は当たりが戻ったが、再び下降の兆しが見え、
原辰徳監督は「(復帰が)早かったかな。本来の姿ではない」と療養による影響に理解を示しつつ、「『なんだ、あの人あんな打撃していても使われるんだ』と思われるのも限界はある」と厳しい言葉も口にし、左投手との対戦時のスタメン外しも示唆していた。
厳しい言葉を報道を通して見たという丸。かつての本拠地で本来の姿を取り戻し、指揮官を「みなさん(報道陣)の記事で少々(丸の)ファイティングスピリットに火がついたのか」とうならせた。
「結果がすべての世界。そこは真摯に受け止めながらやっていく」と丸。広島時代から常にチームの中心に立ってきた男は、ここから巻き返し、チームの3連覇に貢献する。
写真=BBM