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中日・福留孝介 球界最年長プレーヤーの勝負強さ/ひと振りに懸ける

 


 福留孝介の名前がコールされると、スタジアムの空気は一変する。6月2日のロッテ戦(バンテリン)。1点リードの6回二死一、三塁。場内アナウンスと歓声でわくスタンドでつくりあげられた空気を感じながら、球界最年長の44歳は打席に入った。

 カウント2-2からの6球目だった。「チャンスだったので、何とか1本と思い打席に入りました。慎之介(小笠原慎之介)も頑張っていたので、打てて良かったです」。外角低め147キロの速球を中前に弾き返し、三走ビシエドをホームへ返した。

 代打での適時打は4月8日のDeNA戦(バンテリン)以来、2カ月ぶり。連続打席安打は指名打者で出場して4安打した5月29日の日本ハム戦(札幌ドーム)から5へ伸びた。

 代打では場面を想定しながら若手と準備を進める。交流戦で指名打者として出場する際は「守っているつもりになる」。ベンチ裏で体を動かす『エア・守備』で好守のリズムをつかんでいるという。

 与田監督は「チャンスで良い形で打ってくれた」と全幅の信頼を置いている。14年ぶり竜復帰が決まった際、指揮官から「力で勝負してもらう」と告げられた。座席はつかむもの。湧いた感情はシンプルで「それがこの世界。何ら不思議なことではない」。忖度不要。春季キャンプは二軍読谷組だった。

 現役23年目の勝負師はこれまで繰り返してきた。「終わったことは終わったこと。新しい試合が来ます。また準備するだけです」。一瞬、1打席を輝かせるために準備する。

写真=BBM
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