代打の切り札にとって、これ以上ない見せ場だった。3月26日の
DeNAとの開幕戦(東京ドーム)。9回先頭、代打で登場した亀井善行は右翼席中段へのサヨナラ弾で試合を決めた。開幕戦のサヨナラ本塁打は球団史上初、これに「代打」のおまけがつくと、プロ野球史上初という歴史に名を刻む一発となり、「完ぺきでした。めっちゃうれしい。準備だけは怠らずやっていたので、なんとか打てて良かったです」と笑顔を見せた。
2点リードの9回に同点に追いつかれた直後のシーン。重苦しいムードに包まれる中、DeNA・
三嶋一輝の3球目、カウント1ボール1ストライクからのファーストスイングでスライダーをとらえた。オフに重点的に取り組んだ筋力トレーニングの成果がいきなり表れた一発。打席に入る前は三嶋の投球練習を観察し、「ストライクが入っていなかったから、1ストライクまでは見ようと思った」。プランどおりに決める仕事ぶりは、近年の代打稼業で積んできた豊富な経験に裏打ちされたものだ。
「最近のクローザーはボールがものすごく速くて、質も変わっている。毎日試合に出るわけじゃないので難しいところもあるけど、最後に出たときはサヨナラとかを打ちたいですね」
6月5日の
日本ハム戦(東京ドーム)では先発で起用され、球団最年長の38歳10カ月で通算100号を達成。いぶし銀の背番号9が、まだまだチームを支えていく。
写真=BBM