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ソフトバンク・甲斐拓也 育成6位で入団し11年。今夏、金メダルへ――/チームを支える扇の要

 

東京五輪でも扇の要として頂点を目指す甲斐


 今やチームの誰かとレギュラーを争うことも、リードが苦しくなってスタメンマスクを譲ることもない。「ピッチャーを助けるのが捕手の役目ですから」。黒子のスタンスを崩さない甲斐拓也だが、パ・リーグを代表する捕手として、押しも押されもせぬ地位を確立したと言っていい。オールスターゲームの選出こそ西武森友哉にファン投票、選手間投票ともトップを譲ったが、完全に一騎打ち。監督選抜での出場に異論を唱える者はいまい。

 時折ある若手の出場機会は経験を積ませる意味合いで、甲斐がほとんど1人でホームプレートを守っている。キャノンと称される盗塁阻止能力は健在ながら、阻止自体よりも、走者にスタートを思いとどまらせる“抑止”の効果が大きい。さらに頼りにされているのは強固な“壁”としての力。12球団で1、2を争うチームの暴投数の少なさが示すように、ブロッキング能力は球界屈指だ。

 長らく課題だった打撃も進境著しい。故障者続出で打線が得点力を欠く中、交流戦直前には工藤公康監督の発案から二番に入ったこともあった。指揮官が「本人からのアピールもありました」と明かしているように、本人がその気だ。

 今夏は日の丸を背負い、金メダルへの戦いに挑む。2017年の稲葉篤紀監督就任以降、すべての大会、試合で代表招集されてきた。會澤翼広島)の故障辞退もあり、主戦捕手となりそうだ。「重圧もあるし、不安もゼロではないけど、強い責任感を持って戦う」。育成6位入団。誰もがふと彼のルーツを忘れてしまうほど、頼もしい存在になった。

写真=BBM
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