オリックスの元気印・伏見寅威がマスクを被って戻ってきた。
2019年6月18日
巨人戦(東京ドーム)で左アキレス腱断裂の大ケガを負った。自力で立ち上がれず、顔をしかめるしかできなかった。リハビリ生活は壮絶。孤独との戦いだった。
「野球できるの、いいなあ……」
画面越しに仲間の躍動を見た。リハビリ中には「忘れたくても、一生、忘れられない。また野球、できるのかな……って。毎日、不安だった」と語ったこともある。
「絶対、グラウンドに戻るんだ……」
その一心でリハビリ生活を送った。左足首に残る傷痕も、今や勲章になった。
いつも響く声には、深い意味がある。ベンチでも、練習前のアップ中でも、最前列で思い切り声を出す。
「一軍の試合に出始めたときからです。あのころの気持ちを忘れてはいけないので」
今年31歳を迎えても、着飾らない。ありのままに生きる。
「若手に『寅威さんが元気出してるから自分も』と思ってもらえたらいいなって。自分ではあのころの継続だけど、その意味合いが変わってきましたね」
伏見の心がけが、チームの大きな前進につながる。行動1つに意味がある。伏見の言動には、いつも愛がある。
今季はエース・
山本由伸、19歳左腕・
宮城大弥らと主にバッテリーを組む。試合前には、綿密に配球などの打ち合わせを行い「疑問を感じることなく、ミットを目掛けて投げてもらえるようにしたい」と、共同作業で相手打者を封じる。チームは上位争いを演じる。
若手投手の多いオリックスには、頼れる扇の要がいる。
写真=BBM