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中日・柳 裕也 地元ファンの前で1安打の完封ショー/前半戦ベストゲーム

 

柳 裕也


 竜党の頭にパッと浮かぶのは6月1日のロッテ戦(バンテリン)だろう。柳裕也が被安打1、奪三振8の快投。打者28人を107球で料理して、自身3季ぶり2度目の完封勝利を収めた。チームの得点は初回の「1」のみ。この時点で、両リーグの公式戦最短タイの2時間12分で試合を締めた。

「マウンドに集まった野手の方々の笑顔が、うれしかったです」

 試合前のキャッチボールで「きょうは調子がいい」と気づいた。5回までに許した走者は四球の1人のみ。6回一死で代打・加藤翔平に左前に弾き返されて、ノーヒットノーランはお預け。「初安打だとは、まったく気になりませんでした」。落ち着いて続く荻野貴司を、低めのカットボールで投ゴロ併殺打に仕留めた。

 先輩にアドバイスを求めて、後輩に伝える役割が身に染みる。師事した吉見は昨季限りで引退し、西武松坂大輔は今季をもってユニホームを脱ぐことが発表された。今はドラふと1位の高橋宏とキャッチボール。近未来、ともにローテを守るであろう右腕との時間を大切にしている。

「プロは教えてもらうことも大事だと思うんですけど、最後は自分で考えてやるのが一番大事。誰と練習したとか誰に教えてもらったからとかで、うまくなるわけではない。それをヒントに自分でやらないとうまくならない」

 見聞きし、模倣し、合う合わないをジャッジする。そして新しい感覚を得る。未来のエースには学びに敏感でいてほしい。前半戦を終えて奪三振率も奪三振数もトップ。背番号17が輝いている。

写真=BBM
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