6月5日の巨人戦(東京ドーム)で値千金の一発を放った瞬間、雄叫びを上げた
6月5日の巨人戦(東京ドーム)は、チームとしての力強さが残っていることを感じさせた試合だった。6回まで打線は得点を奪えず、0対1で推移。嫌な雰囲気だった。2日の
広島戦(マツダ広島)、4日の巨人戦(東京ドーム)は完封負け。この日もか……という不穏な空気を一掃したのが、来日3年目の
王柏融だった。
7回の攻撃。一死一塁の場面で、値千金の一打が飛び出した。巨人先発・
戸郷翔征の147キロの直球を右翼席へ運んだ。逆転4号2ラン。台湾の大王が放った希望のアーチが、チーム29イニングぶりの得点。王柏融も「チームに元気を与える一発になった。自分にとっても本当に大きなホームランだった」と振り返ったように、三塁側ベンチは息を吹き返した。
7回の攻撃は、さらに続いた。四球、安打、四球で一死満塁と好機を広げると代打・
高濱祐仁が左越えへ2号グランドスラムを放り込んだ。実は昨季、チームの満塁本塁打は12球団で唯一ゼロ。2年ぶりに飛び出した満弾でチームはお祭り騒ぎ。得点力不足にあえぐ打線が一挙6点のビッグイニングで試合を決めた。
試合後のヒーロインタビューでは王柏融が「まず、この場を借りて日本に感謝をしないといけないことがあります。台湾にワクチンを提供してくれまして本当にありがとうございます」と話した。チームも前半戦はコロナ禍の恐ろしさを痛感した時期もあった。最下位に低迷し、苦しい日々が続く中で垣間見せた本塁打攻勢と純粋な思い。前半戦のベストゲームにふさわしい試合だった。
写真=BBM