チームの窮地を4年目の中村奨成が救った。5月19日の
巨人戦(東京ドーム)。中村奨は「八番・捕手」でプロ初先発マスクをかぶった。一軍では捕手として初出場も、先発・九里を好リードで完投勝利に導き、打ってはプロ初打点を含む2安打2打点と奮闘した。
同点の6回無死満塁の打席では、巨人・
高橋優貴の141キロ直球に食らいつき、打球はワンバウンドで三塁手・
岡本和真の頭上を越えて左前へ。プロ初打点が、決勝の2点適時打となった。「うれしい気持ちです。(
九里亜蓮)亜
蓮さんが熱投していたので、援護点になってよかった」。守備では「とにかくテンポ良くということを意識しました」と、イニング間に九里と話し合いを重ね、要所を切り抜けた。「すごく緊張したんですけど亜蓮さん、野手の方がたくさん声をかけてくださって、すごく思い切っていけました」と振り返った。
緊急事態を乗り越えた。チームは5月17日に菊池涼ら3選手が新型コロナウイルスに感染した影響で、同18日には総勢17人を入れ替えた。当初は坂倉が先発マスクをかぶり、中村奨は外野で先発出場する予定だったが、新型コロナの感染拡大を懸念した球団独自の措置で坂倉がベンチ外となり、中村奨が急きょ先発マスクに抜てきされた。試合直前に九里と打ち合わせを行い、見事なゲームメークで勝利に貢献した。
広陵高時代に夏の甲子園を沸かせた中村奨。プロ入り後2年間は一軍出場がなかったが、攻守で輝きを放ったことで、あらためて将来性への期待を高めさせた試合となった。
写真=BBM