このままでは終われない。エースの現状を、誰が予想しただろうか――。
菅野智之は苦しいシーズンに直面している。「チームに迷惑をかけて申し訳ない。1日でも早く100パーセントの状態に戻れるように頑張ります」。前半戦最後の登板となった7月1日の
広島戦(東京ドーム)後に球団を通じて出したコメントに、右腕の悔しさがにじんでいた。この翌日、今季4度目の登録抹消となった。
昨オフにメジャー移籍を検討するも、残留を決断して臨んだプロ9年目。3月26日の
DeNAとの開幕戦(東京ドーム)後に脚の違和感を訴えてチームを離れると、5月上旬に右ヒジの違和感、6月中旬には再調整で出場登録を外れた。それでも東京オリンピックに出場する日本代表に選ばれた菅野は、チームへの貢献とともに、オリンピック出場に向けて、もがき続けた。
18日ぶりに先発した7月1日の広島戦は、3回途中、2本塁打を含む6安打4失点で復活を果たせず。前半戦は9試合に登板してわずかに2勝(4敗)、防御率3.29に終わった。
3日には日本代表を辞退することを発表。「本当に残念でなりません。調子が上がってこない中でも選んでくださった稲葉(篤紀)監督、コーチのみなさんには本当に感謝しています」。目標だった舞台を逃した無念は想像に難くない。だが、エースにはオリンピックによるリーグ戦の中断期間1カ月が再調整の時間として与えられた。悔しさを力に変え、後半戦こそ本来の姿を取り戻す。
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