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ソフトバンク・九鬼隆平 先輩の壁は高くとも、いつか越えてみせる/甲子園のヒーローは今

 

限られた出場機会の中で経験を積む九鬼


 大舞台での経験が、5年目の九鬼隆平にとっての大きな武器だ。生まれ育った大阪を離れ勝負した秀岳館高(熊本)では、3年時に四番・捕手として春夏連続で甲子園出場。春に続き夏もベスト4へ進出した。準決勝では北海高(南北海道)と対戦。5回までに4点のリードを奪われたが、7回に自らの二塁打をきっかけに1点を返すと、8回二死二塁で放った右前打が相手の失策を誘い一気にダイヤモンドを一周した。それでも、惜しくも1点届かず敗戦。春に続いての4強となったが活躍が評価され、直後のU-18アジア選手権でも四番・捕手で出場し優勝に貢献した。

 大舞台で輝けるDNAが体に刻み込まれている。父・義典さんは、池田高(徳島)で春夏通算4度の甲子園出場経験を持つ。同じ捕手で社会人野球でも活躍した父との二人三脚で、高校卒業後プロ入りの夢をかなえた。1年目には二軍戦ながら満塁弾をマーク。その後もファームで爪を研ぎ、プロ初スタメンだった昨年7月5日の日本ハム戦で、札幌ドームの左翼席中段へ打球を運んだ。プロ初安打がプロ1号本塁打。捕手で高卒4年目までに本塁打を放ったのは、球団では1996年の城島健司(現・球団会長付特別アドバイザー、当時2年目)以来のことだった。

 正捕手の甲斐拓也が不在だった東京五輪期間中のエキシビションマッチでは、ほとんどの試合で先発マスクをかぶった。「いつかは日本を代表する選手になりたい」。甲斐の壁は高いが、プロ入り時に口にした言葉を必ず現実にしてみせる覚悟だ。

写真=BBM
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