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西武・今井達也 「野球が本当に楽しい」優勝投手が5年目に迎えた変貌の時/甲子園のヒーローは今

 

今季は2ケタ勝利を狙える状況にある今井


 5年前の夏、作新学院高で甲子園優勝投手に輝いた今井達也は、プロ5年目を迎えたいま、変貌の時を迎えている。「最近野球が本当に楽しいんですよ」とうれしそうに話す、その顔には充実感がみなぎっている。当然だろう。8月24日現在、6勝4敗、防御率2.80。「去年とはまったく感覚が違う」。内容にもこれまでにない確かな手応えを感じている。

 最大の要因はウエート・トレーニングだ。昨秋からのオフ期間、初めて自分できちんと勉強し、真剣に取り組んだ。その甲斐あって体重は5〜6キロ増加。ただ、大きくすることが目的ではなく、“強さ”を求めてのウエートである。結果、直球の平均球速が「7〜8割の力で投げて」150キロ前後と、自然に投げた状態で明らかに球速がアップしたことでも間違いなくプラスの効果が出ていると言える。

 そして、もう1つ非常に大きな変化が「データへの興味」が兼ね備わったことだ。昨季までは課題といえばまず自身のフォームであり、とにかく“抑えること”に必死だった。だが、今季は納得の投球ができている分、“どういう球を投げているか”に目を向けられるようになった。いま、トラックマン、ラプソードなどを最大限活用し、出てきたデータと自らの感覚、フォームを照らし合わせ、再現性を高めていくことが、23歳のエース候補の最高の楽しみなのだ。

 2016年夏の甲子園は、今井に「大舞台を楽しみ、その中で力を出せる自分を教えてくれた」。あれから5年、プロの世界でさらに野球が好きになり、楽しめている背番号「11」が、持ち前の舞台度胸を発揮し、本格開花する日は間近だろう。

写真=BBM
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