あの夏、剛腕とともに聖地で輝いた強肩捕手は着実に成長を遂げている。2年目の山瀬慎之助だ。
オリンピック開催中の中断期間に行われたエキシビションマッチでは一軍出場も果たし、「(
小林誠司)誠司さんや大城(
大城卓三)さんを見て、自分が力不足なのは分かっています。今は必死に練習して、何年後になるか分からないけど、一日一日を大切にして、早く追いつけるようにしたいです」とレギュラーとの距離を再確認。ファームでひたむきに腕を磨いている。
大舞台で輝いた経験がある。石川・星稜高3年のときの、2019年夏の甲子園。大会No.1投手と言われた
奥川恭伸(現
ヤクルト)とともに準優勝を果たした。奥川と小学4年時から同じチームでバッテリーを組んできたエピソードや、山瀬の超高校級の強肩が話題を呼び、この夏の星稜高は大きな注目を集めた。
その秋、山瀬は巨人にドラフト5位で入団。名前の由来でもあり、幼少時からあこがれた
阿部慎之助二軍監督の指導を受け、将来の正捕手候補として期待を背負っている。まだ公式戦での一軍出場はないが、8月1日のエキシビションマッチの
オリックス戦(京セラドーム)では途中出場で2安打を放ち、守備でも投手陣を好リード。
原辰徳監督が「誠司より打撃はいいのかなという気がする。(練習で)よく振り込んでいますよ。この1年ちょっとの間で急成長しているね」とほめたほどだ。
炭谷銀仁朗が
楽天に移籍したとはいえ、層が厚いチームの捕手陣に割って入るのは簡単ではないが、甲子園のヒーローが東京ドームを沸かせる日は、そう遠くないかもしれない。
写真=BBM