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中日・大野雄大 沢村賞左腕の誇りにかけて/タイトルホルダーの意地

 


 東京オリンピック金メダル獲得に貢献して、チーム復帰後初登板となった8月19日の広島戦(バンテリン)。先発を任された大野雄大は6回を投げて被安打5、失点1にまとめた。だが、チームは敗れた。この時点で防御率は3.46。3年連続最優秀防御率を目指すエース。少しずつ成績を改善させたい。

 満足とは言い難いシーズンを送っている。この広島戦で敗れて、3勝8敗と黒星が大きく先行した。ただし、登板15試合でクオリティ・スタート(先発で6回を投げて自責点3以内)は10試合ある。

 プロ11年目の左腕にとって、タイトルとの距離感は難しい。直近でリーグ制覇した2011年はルーキーイヤーだった。19年までは7年連続Bクラスもあった。球団にとって苦しい時期。大きな援護も望めなかった。

「正直、自分の白星なんてクソくらえだと思う時期もありました。僕が抑えたって打線が打つ日もあれば、そうでない日もあります」

 2013年から3年連続2ケタ勝利をしたこともある。揶揄されたのは「10勝したら10敗するピッチャー」。チームの勝敗にかかわらず、成績を残せるのは防御率であり、奪三振数。19、20年の防御率に加えて、昨季は最多奪三振にも輝いている。

 3位に10ゲーム差以上を離されながらもAクラス入りはあきらめていない。大野雄が引っ張らなければ、柳や小笠原ら、後を続く投手もノってこない。昨季の沢村賞左腕。シーズン終盤からでも遅くはない。突き抜けた数字が待たれる。

「少しでも成績を良くしたいです」。9月3日のDeNA戦(バンテリン)は7回6安打無失点の力投で5勝目をマーク。防御率も3.10となった。残り試合を考えると今シーズンの登板は、あと6〜7試合あたり。投げる試合はすべてチームに勝利を届ける覚悟だ。

写真=BBM
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