広島の「タフネス」と言えば、真っ先に名前が挙げられるのが九里亜蓮だろう。今季は先発ローテーションの軸の一人として、開幕からチームを支えている。チームがコロナ禍に巻き込まれた影響で、九里も5月下旬に新型コロナウイルスに感染し、一時は戦列を離脱したものの、故障知らずでマウンドに立ち続けている。9月7日時点で17試合に先発し、チームトップの9勝(6敗)、防御率3.78の成績を残している。
プロ8年目にしていまだに負傷による離脱とは無縁だ。先発の台所事情が苦しかった昨季は、1年間先発ローテを守り切った。オフはウエート・トレーニングを中心に肉体をとことんまで追い込み、さらに強度を高めた。今春のキャンプ中のブルペンでの投球練習では、“元祖”タフネス右腕で現役当時のキャンプで投げ込んできたという佐々岡現監督の333球、
黒田博樹の343球を上回る347球を投げ込む日もあった。
「佐々岡監督、黒田さんも、先発完投する投手は、キャンプで球数を投げるイメージがあった。疲れてもしっかり強い球を投げられるようにするには、球数を投げて体に覚えさせるしかないので」
昨季は年間で2完投に終わったが、今季はすでに2完投を記録している。さらなるレベルアップへ、向上心が尽きることはない。
後半戦序盤は、2試合連続で中5日とタフな日程となったが、難なく乗り越えた。9月1日に誕生日を迎えたが、まだ30歳。チームの上位浮上へ、背番号11が、右腕をフル回転させて勝利へと導いていく。
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