シンデレラ・ストーリーを駆け抜ける。漆原大晟が着実に一軍戦力としてチームに貢献。今季は9月20日時点で34試合に登板し、2勝2敗2セーブ、防御率3.03の成績を残している。
「逸材」に春が来る。2019年に育成ドラフト1位でオリックスに入団。プロ1年目はファームで39試合に登板し、クローザーとして起用された。最多セーブのタイトルを獲得するなど、経験を積むと、昨年2月の春季キャンプ中に支配下選手登録を勝ち取った。
大抜てきのマウンドも経験した。昨年8月23日の
西武戦(京セラドーム)で9回のマウンドを任され、プロ初登板初セーブを記録。育成出身投手として史上初の快挙を成し遂げた。日本人投手では2003年の
永川勝浩(
広島)以来で、球団では1974年の
石田芳雄、82年の
山沖之彦、93年の
金田政彦に次いで27年ぶり4人目の快挙を含め。昨季は22試合に登板して5ホールド、2セーブ。防御率は3.42と自信もつけた。
マウンドでの心構えは「1つずつ自分を落ち着かせて。1ストライク、1アウトを積み重ねていくスタイル」と言う。チームは96年以来25年ぶりの優勝を目指している。
「自分のできることを精いっぱいするだけなんで。あとは助けてもらうときもあったり、助けられるときがあったり。後ろ(救援)の投手って、そんなところかと思います」
背番号65は「育成&勝利」を掲げるチームの象徴的な存在だ。疲労などのコンディションを考慮して、9月6日に出場選手登録を抹消されたが、シーズン終盤に再び輝く。
写真=BBM