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ソフトバンク・甲斐野 央 セーブも、ホールドも、失敗も、戦いの場に戻ってきたからこそ/ラストスパートに懸ける

 

2年ぶりの一軍のマウンドで、甲斐野スマイルも復活


 9月2日の楽天戦(PayPayドーム)。3点リードの9回、マウンドに上がったのは3年目の甲斐野央だった。先頭のオコエ瑠偉に四球こそ与えたが、後続3人を内野ゴロ。最速155キロのストレートに変化球もキレて無失点に抑えた。1年目の2019年、森唯斗の離脱時に挙げて以来のセーブ。「自分の力は微々たるものですけど、もっとチームの力になりたい」。すべての機会が貴重だ。

 東洋大からドラフト1位で入団し、いきなりチームトップの65試合に登板。2勝5敗8セーブ26ホールドの成績を残した。オフには第2回プレミア12の日本代表にも選ばれ、5試合計5イニングを無安打無失点に抑えて日本の初優勝に貢献。まさにフル回転の1年だった。だが翌20年、2月のキャンプで右ヒジの違和感を訴えると、内側側副じん帯の一部損傷で離脱。PRP療法、リハビリを経て7月に一度は二軍で登板したものの、これがこの年最後の実戦で、結局オフの12月に手術を受けた。

 ようやく後半戦スタートのタイミングで一軍復帰を果たした。初登板となった8月15日、いきなり0対0の9回に登板。自己最速タイの159キロをマークして無安打無失点に抑え、史上最多6人継投でのノーヒットノーランを完成させている。

 森とL.モイネロの不在が長引き、一時は岩嵜翔嘉弥真新也まで戦列を離れる苦境に陥った。森が復帰した9月7日、甲斐野は8回に登板も3失点で逆転され森につなげず黒星を喫しているが、それも戦いの場に戻ってきたからこそだ。「反省して次の登板に生かさないと」。居場所を確立するための戦いもまた続いていく。

写真=湯浅芳昭
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