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阪神・糸井嘉男 不惑の男が全力プレーでチームに刺激を与える/ラストスパートに懸ける

 

執念のプレーでチームの精神的な存在になっている糸井


 チーム最年長の糸井嘉男が存在感を示している。シーズン終盤にきて貴重な働きでベテランパワーを発揮し、勝利に貢献する試合が目立つ。

 7月に40歳になった糸井は春先から「強いチームの手助けをしたい」と出番を待ち続けた。それが結果となって表れたのは勝負どころの一打だった。

 9月5日の巨人戦(甲子園)で一時は0対6と劣勢だったが、6回に4点を返した。そして7回に代打出場した糸井の2点タイムリーで同点に持ち込んだ。

 昨季は右ヒザ痛もあって86試合出場にとどまった。今シーズンも開幕から代打要員だったが「数少ない打席で結果を出すには練習するしかない」と言い聞かせた。

 真夏の8月にも若手と一緒に早出特打。同じ近大出身の佐藤輝にも「楽しみです」と後輩を見守りながら、自身の居場所を求めるためにバットを振り続けた。

 9月11日の広島戦(マツダ広島)では史上31人目の通算300盗塁を記録。これが今季初盗塁だが、40歳1カ月での到達は史上最年長だった。

 糸井は「確約されている立場ではないので」と意地をみせる。その強い気持ちは執念のプレーにも表れ、チームの勇気にもつながっている。

「みんなムードが良いし、どんなに点差があってもみんなで攻めていく。勝つという思いで一体になっている」

 優勝経験のない若手主体のチームにあって、不惑の男の全力プレーがさらに刺激を与える。

写真=BBM
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