近年まれに見る激しい新人王争いの中で、ひときわ存在感を放つのが栗林良吏だ。ルーキーながら開幕から守護神に抜てきされ、2リーグ制後の新人記録のデビューからの連続試合無失点「22」を樹立。東京五輪では守護神として5試合に登板し、2勝3セーブと金メダルに貢献。その名を日本中に知らしめた。
ライバルは多い。9月29日時点で、高卒2年目ながら8勝(3敗)を挙げている
ヤクルト・
奥川恭伸、新人史上初のサイクルヒットを達成した
DeNAの
牧秀悟、破格のパワーで球団新人最多本塁打を更新した
阪神・
佐藤輝明、レギュラーを獲得し、リーグの盗塁王争いを繰り広げる阪神・
中野拓夢、7勝左腕の阪神・
伊藤将司と壮絶なタイトル争いを繰り広げている。もちろん栗林は「1つ1つの登板を大事にして、最後(新人王を)獲れたら」と意欲は十分だ。
9月に入り、佐藤輝は二軍で再調整を続けていた。栗林は「佐藤君が今年は特にセ・リーグ、プロ野球界を盛り上げてファンを増やしている。自分としては早く一軍に上がってきてほしい」とエールを送っていた。また、社会人時代から関わりがあった2人の名を挙げ「伊藤将司と中野の結果を気にしながら、切磋琢磨していけたら」と話した。
最多セーブのタイトルについては、チーム状況にも左右され、阪神の
スアレスに独走を許している。新人の最多セーブ記録はDeNAの
山崎康晃の37で、ここも現状厳しい。それでも防御率は圧巻の0点台。9月26日のDeNA戦(横浜)では球団の新人最多記録を塗り替える26セーブ目、28日の阪神戦(甲子園)でも、山崎康晃の持っていた新人の登板連続試合セーブ記録を10と塗り替える27セーブ目。30セーブを超えていければ、新人王にかなり近づいていけそうだ。
写真=BBM