絶対的守護神にもこんなことがあるのか。9月7日の
広島戦(マツダ広島)。4点リードの9回のマウンドにはR.マルティネスが向かう。勝利を確実なものにすべく慎重に慎重を重ねての起用だった。
先頭の
林晃汰に左前打を浴び、代打の
安部友裕に右前打を食らう。160キロを越える直球が150キロ前後で変化球のコントロールもいま一つ。その後、二死を取るも一、三塁。ここから最後のワンアウトが遠かった。
西川龍馬、
鈴木誠也に連続適時打を浴び、2点差とされて二死一、二塁。一発出れば大逆転。まさか……そのまさかが起きた。
坂倉将吾に高めに入った直球を右翼席に運ばれ、痛恨のサヨナラ3ランとなった。
あまりにもショッキングな展開に与田監督も「こういうこともたまにはある」と意気消沈。試合後のライデルは表情を失ったまま、帰りのバスに乗り込んだ。
どれだけ悲惨な結果が出ても次の日も出番がくれば、マウンドに向かうのがクローザーの仕事。24時間後、3点リードの9回にマウンドに上がると
小園海斗を148キロの直球で三ゴロ、続く西川を三失で出塁を許すも
鈴木誠を中飛、痛恨の一打を食らった坂倉を中飛でゲームセットを締めた。
「昨日やってしまったので何とか失敗を取り戻せるように頑張っていきたいと思った。味方に迷惑を掛けて申しわけない」。試合前には勝ち星が消えた小笠原に声を掛けていた。さらなる高みを目指すストッパーにとっては忘れられないゲームに。160キロの直球と150キロのスプリットはキューバの至宝と呼ぶのに相応しい。失敗を糧にさらに強くなる。
写真=BBM