荒削りながらも、リチャードのここ一番での長打力はやはり魅力
ラストスパートへの若きキーマンとなりそうだ。9月26日の
日本ハム戦(PayPayドーム)。同点の7回に売り出し中のリチャードが勝ち越しの7号ソロ本塁打を放った。「もう少し飛んでると思って走ったけど……」と苦笑いを浮かべながら何度も拳を突き上げた。前日の悔しいベンチ外からスタメン起用され、最高の結果で応えて見せた。「今日はいろんな人のホームラン。自分のホームランじゃないですね」と笑った。
25日は試合前にベンチ外を伝えられた。「何をしていいか分からなかった」。戸惑っていると、ベテランの
長谷川勇也から「試合を見て勉強だよ」と声を掛けられた。ウエート・トレーニングをしながらテレビ中継にかじりつく。グラウンド上では分からないことを客観的に見ることができ、「足や守備は使えない。だから、バッティングをもっと頑張らないといけない」と再確認した。
育成出身の高卒4年目。9月2日の
楽天戦(同)で一軍デビューを飾ると、5日の
オリックス戦(同)ではプロ初本塁打を華々しくグラウンドスラムで飾った。初本塁打が満塁本塁打はプロ野球88人目で、球団史上9人目。自主トレでは同じ沖縄県出身の
山川穂高(
西武)から本塁打の極意をたたき込まれ、力をつけてきた。
まだまだ確率は高くなく、荒削りの部分は多い。ただ、一発の魅力は十分。
王貞治球団会長からも「バットでボールの中身を切るイメージ」と熱烈指導を受けた。5年連続日本一を狙う常勝軍団の若き大砲候補。「こういうチームの中でプレーしているんだな」と、刺激を受けながら成長する。
写真=湯浅芳昭