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ビッグプレーを呼んだもの ロッテ・エチェバリア/あの悔しさを胸に

 


 まさにミラクルプレーだった。9月20日の日本ハム戦(札幌ドーム)で見せたエチャバリアの守備だ。1対0の8回一死二、三塁の大ピンチで、打席の西川遥輝は佐々木千隼が投じた直球をはじき返した。痛烈なライナーは二遊間を抜けたかと思った。その瞬間、メジャーでも屈指の遊撃手として呼ばれた男が華麗なダイビングキャッチを披露した。

「近くにボールが飛んできたので、どこでも捕ってやるぞという気持ちだった。とても満足している」

 敵地・札幌ドームには乾いた快音の後に、一瞬の静寂が生まれ、そして悲鳴が響いた。誰もが逆転されたと思った。センターを守っていた藤原も「絶対に抜けたと思った」と振り返るほどだった。

 忘れられないシーンがある。9月7日のオリックス戦(ほっと神戸)、3対1で迎えた8回に佐々木千は代打・大下誠一郎に一発を浴びて1点差に迫られると、その後も二死三塁を背負いながらも、福田周平を遊ゴロに打ちとったと思った。が、名手がまさかのエラーを犯してしまった。

 これで同点。そして、チームも9回にサヨナラ負けを喫した。

「千隼がオリックス戦で投げたときに、僕がエラーをして負けてしまった。どうにか彼の役に立ちたいと思っていた」

 迷惑をかけた自身のプレーを取り返すために、助っ人は無我夢中で飛び込んだのだった。

 シーズン途中に合流した来日1年目だが「日本になじめるように、できることはすべてやっているつもり」と言う。仲間を思う気持ちが強い助っ人だから、大事なところでビッグプレーも飛び出すのだ。

写真=BBM
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