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西武・平井克典 先発で結果を残し続けられなかったサイドスロー/あの悔しさを胸に

 

9月25日のロッテ戦、久しぶりの先発は5回1/3を3失点だった


「今年は先発に挑戦させていただいています!」

 春季キャンプ時から平井克典の表情は明るかった。2年目のシーズン中から折を見ては首脳陣にアピールし続けていた先発転向への思いが5年目にしてついに叶ったからだ。

「自分を変えなければプロ野球人生が終わる」との危機感からの先発挑戦だ。気合は相当だった。その強い思いを体現するがごとく自身開幕3連勝、防御率1.45と、最高のスタートを切った。だが、徐々に精彩を欠くと、10試合目となった6月30日のソフトバンク戦(北九州)の7失点(自責3)黒星を機に二軍降格。以後は、守護神・増田達至森脇亮介宮川哲ら中継ぎの柱がそろって不振というチーム事情も重なり、7月7日に再登録後はリリーフ起用となった。

「自分から挑戦させていただいた以上、中途半端なことはしたくない」と並々ならぬ決意で挑んでいた。悔しさ、忸怩たる思いは相当だった。その中で、「与えられた場面で投げるだけ」と割り切り、中継ぎでは本来の安定した投球を取り戻した。そして、9月5日3回、10日2回、15日3回と3試合連続で回またぎのロングリリーフでも結果を残し、同25日のロッテ戦(メットライフ)で再び先発のチャンスを得た。5回1/3を3失点で黒星は喫したが、緊張が見えた初回の3安打3失点以外は4回1/3を1安打無失点に抑えた。

「次は、立ち上がりから自分のリズムでベストな投球ができるようにしたい」

 誰よりも心に闘志を秘める男だ。翌日に一軍登録を抹消されたが、不退転の思いで自らに重圧をかけ続けてきただけに再びチャンスを与えられたら必ずや結果を残してみせる。

写真=BBM
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