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苦しさを乗り越えて オリックス・田嶋大樹/飛躍のシーズン

 


 孤高の左腕がキャリアハイの8勝をマークした。優勝争いの中、負けられない戦いの続いた10月19日の楽天戦(京セラドーム)、田嶋大樹は5回6安打2失点と粘投し、8勝目を手にした。

 目標としていた2ケタ勝利には届かなかったものの「プレッシャーのかかる中でどうやって100パーセントの力で投げようかと思っていた」と、ペナントレースの行方を分ける試合での投球に手応えを感じていた。

 2年連続での規定投球回にも到達。若月健矢紅林弘太郎と上がったお立ち台では「今シーズンは勝ち星も重ねて規定投球回にも乗れた。たくさんのファンの声援あってのこと。みんなに勝たせてもらった8勝。試合中、大きな拍手をしていただいてありがとうございます! 背中を押されて頑張ろうと力が湧きました」と詰めかけたファンに感謝した。

 読書家の左腕は、ここ最近「ミニマリズムの本」を読み「いろんな世界を見ていたほうが心が和らぐ。こんな世界観もあるんだなと」とリラックス状態。投球の完成度をさらに追求するため、必要最小限まで日常生活での娯楽を省いた。

「(本は)ほぼほぼ捨てましたね。洋服も捨てました。最低限しかないです」

 テレビやベッド、ソファなどは部屋に置いているが、必要最低限でないものはリリースした。無心でマウンドに向かう理由は「何もしなくてもプレッシャーがかかる状態。何も考えないように」と本音を明かす。

 メンタル面を強化し、苦しさを乗り越えた左腕に、ポストシーズンでも先発の柱として期待がかかる。

写真=BBM
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週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

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