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ソフトバンク・リチャード 「2カ月で7本」から、さらに高く飛べ!/下位打線で光った

 

打率はまだまだも、本塁打のインパクトは大きかったリチャード


 打率.181、7本塁打、20打点。リチャードが9月以降だけでマークした数字だ。チームで9、10月にリチャード以上に本塁打を打ったのは、A.デスパイネ栗原陵矢の8本ずつで、柳田悠岐も及ばない。8年ぶりのBクラスという荒野の中で、希望の芽は確かにあった。

 沖縄尚学高から2018年に育成3位で入団。アメリカ人の父・ジャンさんと母・あけみさんの間に生まれ、文字どおり日本人離れした体格とパワーを買われた。兄もMLB・マリナーズ傘下に在籍していたことがある。自身の1年目は三軍戦だけの出場。わずか1本塁打が、プロのキャリアの滑り出しだった。オフに同郷の先輩・西武山川穂高の門をたたき、長距離砲の薫陶を受けた。三軍で11本塁打と足跡は残したが、二軍ではノーアーチ。オフに台湾のウインター・リーグへ武者修行に出され、最多タイ3本塁打と結果も残した。

 そうして迎えた3年目の20年、春季キャンプA組(一軍)に抜てきされると、オープン戦も通じて猛アピールし、開幕前に支配下登録。だが、新型コロナ禍で開幕延期される間に状態も状況も変わり、一軍デビューはお預けだった。4年目はオープン戦で脱落し、やっとチャンスが巡ってきたのは東京五輪の間のエキシビションマッチだった。

 9月2日に初昇格してすぐにスタメン出場。4日に初安打。5日にプロ1号の満塁弾。打順はたまに六番もあったが、主戦場は七番、八番だった。首脳陣も高く買う才能。「2カ月で7本」を来年も同じように打てるほど、プロの世界は甘くない。地ならしを済ませ、高く飛ぶ。

写真=湯浅芳昭
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