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ロッテ・加藤匠馬 粘りながら泥くさく/下位打線で光った

 


 中日からトレードで6月に移籍加入した加藤匠馬は、快進撃を見せるチームにフィットした。

 打力の弱さがネックで、打順の九番に投手が入るセ・リーグでは、八番に捕手の加藤を並べると、攻撃力が大きく低下してしまう。

 そのため、出場機会に恵まれなかったが、DH制が採用されているパ・リーグでは、投手が打席に立たないため、自慢の強肩を生かした高い守備力を存分に生かすことができた。

 お世辞にも「強打の捕手」とは言えない。それでも自身が打席に入る前に走者が出ていれば、無死であろうと、一死であろうと、送りバントでチャンスを拡大する。そうすることで、不動のリードオフマンとして活躍する一番・荻野貴司に打席が戻り、得点できる可能性が高まった。

 打撃は意外性も発揮した。9月29日のオリックス戦(ZOZOマリン)では、山崎颯一郎が投じた145キロの直球を左翼席へ運んだ。「今まで打撃のほうで迷惑を掛けていた。初めてなのでちょっと興奮して分からない」と7年目にして待望のプロ初アーチをマークした。

 10月15日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)では左腕・笠谷俊介から同点ソロを放った。これには井口資仁監督も「(ベンチで)全員がびっくりしていた」と笑う。加藤の打撃がチームの勝敗に影響する展開も増えた。

 中日時代の2019年には自己最多となる92試合に出場し、打率.228をマークした。今季はその数字をはるかに下回っている。それでも一軍で活躍できる喜びを感じながら必死にプレー。泥くさく、打席の中で粘りながら──。11月6日に始まる楽天とのクライマックスシリーズ(ZOZOマリン)でも上位打線につなぐ役割を全うする。

写真=BBM
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