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楽天・早川隆久 エースへの階段を一歩ずつ/伝家の宝刀

 

1年目に確かな経験値を積み上げた


 9月22日の西武戦(メットライフ)。2対1で迎えた3回二死三塁のピンチ。早川隆久は、岸潤一郎を自慢のカットボールで三ゴロに打ち取ると、グラブをポンとたたいた。ピンチを脱すると、6回途中2失点で今季9勝目を挙げた。

 ドラフト1位ルーキーは、先発の柱として躍動した。23試合に先発して9勝7敗、防御率3.86。9勝は球団の左腕としては2011年の塩見、19年の辛島に並び最多タイだ。プロで戦えることを証明した1年だった。

 150キロを超える直球を軸に、チェンジアップとカーブで緩急をつける。その中で、カウント球としても勝負球としても使ったのが、130キロ台のカットボールだった。早大時代から持ち球だったが、春のキャンプで田中将から直々に教わって改良を加えたものだ。

 これまで投じていたカットボールは「強さがなかった」。右打者の内角に投じると、痛打されることがあったという。握りなどの詳細については伏せたが、田中将からメジャー流の握りなどを教わったことで、プロ相手でも使える球へと進化した。「右打者の胸元に食い込ませてバットを折るような」打者の手元で鋭く変化をする球に変わった。

 5月16日のオリックス戦(京セラドーム)ではわずか98球で新人一番乗りとなる完封勝利。最後の打者、T-岡田を空振り三振に封じた球もカットボールだった。「これからも自分でも勝てるように投げていきたい」と左腕。球団のレジェンド右腕から教わった宝刀を武器に、エースへの階段を上がっていく。

写真=BBM
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