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“握らないフォーク”で オリックス・山本由伸/伝家の宝刀

 


 絶対に負けられない試合で山本由伸は、伝家の宝刀を武器とした。空振りを奪うフォークボールだ。今季最終戦となった10月25日の楽天戦(楽天生命パーク)。122球で今季4度目の完封勝利で、球団新記録となる自身15連勝&今季18勝目を飾った。

 高卒プロ5年目で、自身初のシーズン完走。ケガなく、最多勝、最優秀防御率、最高勝率、最多奪三振──と投手タイトルを総なめ。磨いた直球と“握らないフォーク”が最大の武器だった。

 初回先頭の楽天・山崎剛を146キロのフォークで空を切らせ、シーズン200奪三振に到達。空振りを奪うフォークは、見よう見まねでモノにした。投手を始めた8年前、宮崎・都城高1年。紅白戦の打席で“打者目線”で覚えた。

「1歳上の先輩が『ツーシーム』と投げていたんです。でも、落差がすごかった」

 打席を離れると即座に教わって習得。探求心が、エースへの道を切り開いた。

 投げる度に改良を重ね「カウントを取るのと、三振を狙う2種類のフォークを。(捕手の)サインは1つなんですけどね」。ボールは2本指で挟まず「握ってないんですよ」と縫い目に添えるだけ。エースは1球1球に愛情を込める。球審から新しいボールを受け取ると、ふうっと息を吹き、両手でギュッと白球をこねる。

「触った感じがパサパサから、しっとりに変わるように」

 優しくなで、白球を味方にする。

 エースの躍動もあり、チームは1996年以来25年ぶりのリーグ優勝を果たした。日本シリーズも“握らないフォーク”で突き進む。

写真=BBM
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