シーズン終盤に一軍復帰を果たし先発3試合目で今季初勝利。来季につながる価値ある白星だった
投球スタイルは健在だった。2018年のセ・リーグ新人王、
東克樹が左ヒジのトミー・ジョン手術と一進一退したリハビリを乗り越え、再びマウンドに帰ってきた。復帰3戦目で横浜スタジアムに凱旋した10月23日の
中日戦は、8回1安打無失点の快投で自身2年ぶりの白星を記録。お立ち台では晴れやかな表情で「ひさしぶりにこの光景を見ることができてうれしい」と感慨に浸った。
伸びやかなストレートと、ヒザ元に鋭く沈む独特のチェンジアップ。これを両コーナーに正確に投げ分けていく投球は、まったく色あせていなかった。復帰戦となった9月28日の
ヤクルト戦(神宮)は5回途中4失点で黒星こそ付いたが、失点は5回二死から
青木宣親に満塁本塁打を浴びてのもの。4回までは1安打ピッチングと、その後セ・リーグを制した強力打線をまるで寄せ付けなかった。
完全復活を思わせるパフォーマンスは、復帰へのプログラムにある。
DeNAは手術した投手などの二軍調整に極めて長い時間をかける。東はイースタン・リーグで7試合、32回1/3イニングを投げてからゴーサインが出た。同様に今季左肩の手術から復帰した
今永昇太も二軍で6試合、29回1/3を投げている。復帰は先発ローテーションを回れる万全な状態になってから、という明確な球団のビジョンがうかがえる。
本領発揮は来シーズン以降だが、東の復活は6年ぶり最下位に終わったチームで数少ない明るい話題となった。
写真=内田孝治