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ソフトバンク・甲斐拓也 試合に出ているからこその「キツさ」/陰のチームMVP

 

球団史上3人目となる全試合出場を達成した甲斐


 陰と呼ぶのは失礼かもしれない。甲斐拓也は扇の要としてシーズンを完走した。10月25日のロッテとのシーズン最終戦(ZOZOマリン)では適時打を放ち、千賀滉大の2ケタ勝利到達もアシスト。ホークスの捕手では野村克也城島健司に続く3人目の全試合出場を達成。「調子がいいときも悪いときも試合に使っていただいた工藤監督、コーチの方々に感謝したい」と謙虚に頭を下げた。

 酸いも甘いも味わった。夏の東京五輪では侍ジャパンの正捕手として金メダル獲得に大きく貢献。一方でチームは状態が上がらず、正捕手に定着した2017年以降では初めてのBクラスに甘んじた。「五輪もあったし、シーズンも終盤になって、僕の中ではやっぱり一軍の試合で野球ができて、試合に出ている。うまくいかないことも多くあるけど、野球をやっていて『キツい』というのは受け止めたい」とも語った。育成からはい上がり、球界トップの捕手まで上り詰めた苦労人は、一軍で味わう「キツさ」を幸福にも感じる。

 全試合出場の疲れを癒やす間もなく、来季に向けての戦いは始まっている。藤本博史新監督の下、宮崎での秋季キャンプに参加。打率.227に終わり、リーグワーストの142三振を喫した打撃面を見つめ直す。「体を鍛えることも大事だけど、一番は打撃面」ときっぱり。藤本新監督からは「走者がいるなら右方向に打つとか、チームバッティングも大事」とつなぎの意識を求められた。

「(来季は)最高の1年になるように。僕はキャッチャーなので、リーグ優勝、日本一で終われることが一番最高な形」と、V奪還を誓う。

写真=BBM
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