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初タイトルをつかんだ“切り札” ロッテ・和田康士朗/陰のチームMVP

 


 レギュラーでなくても、チームにとって欠かせない戦力だった。昨季育成選手から支配下登録された和田康士朗は「獲れると思っていなかったので驚いた」と24盗塁をマークし、自身初タイトルを獲得した。

 今季はわずか24打席だけ。これは史上最少打席数での盗塁王となる。試合終盤での代走がメーンで、当然相手バッテリーからの警戒も厳しくなった。盗塁失敗は4度あり、「前半戦はいい感じだったが、後半戦は結構失敗とかも多くなって失速した。そこは反省するところかな」と振り返る。

 代走で途中出場したあとは守備固めとして外野のポジションに就くことが多かった。ここでも、快足を生かした広い守備範囲でチームを何度も救ってきた。

 8月29日の楽天戦(楽天生命パーク)では同点のピンチを救うスーパープレーも見せた。1点リードの9回裏一死二塁で、浅村栄斗の右翼線を襲った鋭い打球に快足を飛ばして、スライディングキャッチ。試合はそのまま逃げ切った。

 チームには安田尚憲藤原恭大山口航輝佐藤都志也といった強打を武器する期待の若手がそろっているが、走るだけではなく、守備でもチームに貢献できるからこそ、同世代の中でも和田の存在感は特別なものになっている。

 課題は打撃だ。打率.263と数字だけを見れば及第点だが、打席数が少なかったのは、「代走の切り札」としてベンチに置いておきたかったこと以外にも、左投手を苦手とする現実もあった。これを克服できれば、来季はレギュラー争いも十分可能だ。

写真=BBM
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