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楽天・渡辺佳明 定位置奪取で3割超えを/下位打線で光った

 

自らの武器を生かして勝負する


 二塁ベース上で、渡辺佳明が堂々と右手を突き上げた。10月7日のロッテ戦(ZOZOマリン)。2対2の同点で迎えた9回二死二塁。フルカウントからの6球目だった。渡辺佳が、ロッテ・益田直也の外角直球を振り切ると、高々と上がった打球が相手左翼手の頭上を越えた。勝ち越しの適時二塁打に「チャンスだった。いいところで打ちたいと思っていた」と喜びをかみ締めた。

 勝負強さではチーム随一と言っていい。ルーキーだった2019年は77試合に出場して得点圏打率.393。20年は35試合の出場に終わったものの、得点圏打率は.450。チームでも指折りのクラッチヒッターと呼べるほどの成績を残してきた。

 4月3日のオリックス戦(楽天生命パーク)に「七番・三塁」で今季初先発。その後も七番、あるいは八番でスタメン出場を果たした。10月26日の時点で44試合に出場し打率.273。同日の時点で得点圏打率.250と昨季と比べて低調だが、出塁率は.351と数字を上げ、打線をつなぐ役割として確かな存在感を示した。下位打線でも安定してパフォーマンスを発揮した。

 振り返れば、大きく飛躍を誓った20年のキャンプは、まさかの二軍スタート。「とにかく一軍に呼ばれるように」とこれまで以上に守備練習に意欲的に取り組んだことも、今季につながっている。今季は三塁と二塁に加え、右翼と左翼でも先発出場を果たした。着実に成長を続けるユーティリティープレーヤー。規定打席をクリアしての自身初となる3割超えだって、夢ではないはずだ。
写真=BBM
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