週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

ヤクルト・塩見泰隆 グラウンドを駆け抜ける韋駄天/わがチームの“○○王”

 


 自慢の快足でフィールドを駆け回った。4年目の塩見泰隆は今季、一番打者に定着し、リードオフマンとして140試合に出場し打率.278、14本塁打、59打点の好成績。6年ぶり8度目のリーグ優勝に大きく貢献した。

 武器は何といっても、「足」だ。21盗塁はリーグ3位で、チームトップ。50メートル走を5秒9で走り、帝京大時代には練習場のあった山間部でイノシシを追い掛けていたというエピソードを持つほどだ。10月7日の巨人戦(神宮)では、0対0の9回一死からチーム初安打となる左前打を放つと、続く青木宣親への3球目で二盗に成功。山田哲人の遊撃内野安打の間に、一気に二走からサヨナラのホームを踏んだ。

 勝利を呼んだ緊迫する場面での盗塁に「成功する確率が高いと思ってスタートを切った。本当にうれしかった。今年一番の盗塁だったと思う」と振り返った。さらに、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ初戦となった11月10日の巨人戦(神宮)では、1回一死一、三塁から村上宗隆の遊飛で三走から生還。「一番としての役割である出塁を心掛けて、積極的な盗塁でチームにいい流れを持ってこれるように頑張っていきたい」と振り返った。

 ほっと神戸での日本シリーズ第6戦でも、延長12回二死走者なしから安打で出塁すると、捕逸の間に二進。代打・川端慎吾の左前打で、一気にホームを陥れた。のちに「気合いで打ちました」と語った執念の安打もだが、全力疾走で日本一を手繰り寄せた。

 仕事は走ることだけにあらず。「走るぞ、走るぞとプレッシャーを与えれば投手も投げづらいでしょうし、クイックを意識しないといけないし、ワンバンになり過ぎると走られるということも考える」とあえて走ることを警戒させている。飛躍した燕の韋駄天が、来季も足で魅せる。

写真=BBM
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング