キャリアで残すはヤクルト戦での白星のみだ。

　増井浩俊がプロ野球史上初の快挙達成に意欲を燃やす。37歳右腕は、すでに12球団セーブ＆ホールドを記録しており、ヤクルト戦で白星を獲得すれば“完全制覇”となる。

「本当にここで(ヤクルトから)勝ちを取れれば完全制覇というかね。1人で3人分ぐらいの記録になるので、達成できたらいいなと思いますよね」

　今季の5月30日のヤクルト戦(京セラドーム)で先発登板し、試合をつくるも白星とはならなかった。リーグが異なる相手なだけに、交流戦の3試合しか対戦がない「激レア記録」となる。

　プロ生活549試合に登板し、163セーブ&158ホールドを記録しているベテラン右腕。代名詞となった登場曲の「Shape of You」が流れると、場内は拍手を送る。今季はチーム事情もあり先発再転向した。

「クローザーのときは力いっぱいに投げていた。今は『どんな球でも打ち取れるんだ』と。あんなにムキになって三振を狙っていたのに、緩いカーブでもアウトにできる。いろんな方法がある」と充実の学びがあった。

　今季は15試合に登板し、3勝6敗、防御率4.94と苦しんだ。シーズン最終盤には「なかなか貢献できず。申し訳ない」と本音を漏らした。

　スラっと長い手足から繰り出す直球は、今でも150キロを超える。「必死です。本当に」。NPB史上初の記録を打ち立て、“増井健在”を証明してみせる。

写真＝BBM