存在が空気を引き締める。新監督就任後に行われた立浪和義監督による秋季キャンプ。最終日の11月26日。練習前の左翼ファウルゾーンにできたナインの輪に、指揮官がゆっくり歩を進めた。
「みんなしんどい練習をよく頑張ってくれた。必ず力になる。オフも自覚を持って取り組んでほしい。(休息とトレーニングの)メリハリちゃんとして(春季キャンプまでの)2カ月間、計画性を持ってほしい」
声のトーンも内容も、日常の雰囲気のまま。それなのに、選手の背筋が伸びるのは名球会員と野球殿堂入りの強烈な肩書きがあるから。新監督は数分間にわたり、いたって普通なメッセージを送った。
限られた施設を使ったナゴヤ球場での秋季キャンプ。午前中に
高橋周平、
京田陽太、
A.マルティネス、
木下拓哉を鍛えた。午後からは期待する
根尾昂や
石川昂弥ら若手の成長を促した。「試合に出る選手もちゃんとやらないとね」。
レギュラー特権はない。投手はチームの二枚看板、
大野雄大と
柳裕也も秋季キャンプのメンバーだった。今季8勝10敗の
小笠原慎之介は連日、指揮官によるマン・ツー・マンレッスンを受けた。下半身強化メニューを用意された。
指揮官は最終日に、内外野を守ってきた根尾を外野一本にすることを明言。「打てば、どこで使うかはこちらで考えますから」。ドライチ入団の背番号7もプロ3年間で1本塁打のみ。チームの勝利を求め、個々の役割を明確にする。立浪竜がセ・リーグを面白くする。
写真=BBM