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手綱は緩めない オリックス・中嶋聡監督/指揮官が見据える2022

 


 手にした25年ぶりの栄冠。ただ、リーグ制覇を成し遂げても、中嶋聡監督に慢心はない。

 2年連続のV、そして日本一へ。ヤクルトとの日本シリーズに敗れた深夜の神戸で、すでに来季を見据えていた。

「結果として認めるしかない。負けたのも、結果として受け取るしかない。まだまだ集大成といえるところじゃない。これからもっともっと成長していくチームなので」

 監督就任1年目での悲願成就。徹底した準備力がペナント奪取の勝因だ。昨オフの大きな補強は、阪神を戦力外になった能見篤史兼任投手コーチと、4年ぶり古巣復帰した平野佳寿のみ。大型補強でなく育成にかじを切り、20歳・宮城大弥を開幕2戦目の先発に抜てき。眼力的中で、背番号と同じ13勝をもたらした。

 捕手出身監督は救援陣の疲労も理解。12球団唯一の3連投なし。連投すると守護神・平野佳を思い切ってベンチから外した。強弱をつける選手起用で、同一カード3連敗なし。今季最長の11連勝で波に乗り、交流戦Vも果たした。

 育成と勝利の両立――。極めて難解な問題も、中嶋流で説いた。

「育成、育成と言ってもね。若い選手を使うだけが育成じゃない。チーム全体を熟成。負けグセから勝ちグセをつけること」

 三番・吉田正尚を軸に30歳の杉本裕太郎を四番に据えて、覚醒させた。福田周平は志願のセンター挑戦で心意気を買い、宗佑磨には「三塁、やってみないか?」。今季途中に安達了一を遊撃から二塁にコンバート……。すべては「オリックスの未来」のためだった。

 見据えるのはチャンピオンのみ。来季も手綱は緩めない。

写真=BBM
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