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本気でぶつかる“ノック=会話” ロッテ・森脇浩司コーチ/最年長の意地

 

ロッテ森脇浩司コーチ(左。右は中村奨吾


 今年8月で62歳を迎えると知ると誰もが驚く。2年連続リーグ2位となったチームの首脳陣の中で、最年長となる森脇浩司ヘッド兼内野守備コーチは誰よりも元気だ。
 
 見た目も若々しい。髪は黒く、体型も崩れずに、足の長さも目立つ。そして笑顔だ。

「若さの秘けつは、よく食べたり、よく寝たりすることもあるけれど、若い選手とよくコミュニケーションを取ることかな」

 これまでソフトバンク巨人中日でコーチを歴任し、オリックスでは監督まで務めたほどだが、孫とも思えるような年齢差の若手との距離も近い。

 石垣島でのキャンプでは主将を務める二塁手の中村奨吾と遊撃手の藤岡裕大に早朝からノックバットを振り続けた。恒例となったアーリーワークは全体練習のウォーミングアップが始まっても続いた。そんな様子を見ながら井口資仁監督は「昨年からずっとやっている。いつもの光景」と笑う。現役時代の指揮官も、その芸術的なノックを受け、屈指の内野手へと成長した。

 連日、森脇ヘッドと居残り特守に取り組んだドラフト2位の池田来翔は「(下半身が疲労で)結構やばかったけど、楽しんでできた」と振り返る。そんな新人は2月中の沖縄本島での練習試合は全4試合に出場し打率.533。二塁守備でも好守を見せた。

「ノックの名人」と言われるベテランコーチは、選手をその気にさせる「話術」も超一流。「年齢はだいぶ違うけど、本気でぶつかり合うことで、意思疎通を図っている」。ノック=会話。悲願のリーグ優勝を成就させるには、若手の活躍が必要。そして若手の台頭には、名人芸と称されるノックが不可欠なのだ。

写真=高塩隆
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