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ソフトバンク・甲斐拓也 目の前の1打席よりも、1年間の500打席/今季はひと味違います

 

リードだけでなく打撃面でも、甲斐はチームに貢献できるか


 右方向へのアーチで、大きな変化と進化を予感させた。3月4日のロッテ戦の3回。先頭の甲斐拓也が、本前郁也の外角直球をとらえてPayPayドームの右翼テラス席へ打球を運んだ。「少しずつですけど自分のものになってきてるのかな。少しずつ形になってきている」。今春から取り組んできた新たな打撃フォームに、大きな手応えを感じ取った。

 強肩を武器とする絶対的な正捕手は、今季こそ打撃力向上という大きな課題を克服する。昨年は打率.227。リーグ最多の142三振を喫した。「チームの要」と信頼するからこそ、藤本監督も「2ケタ本塁打は立派だけど142三振は多い。差し引いたらマイナス」と、甲斐には強く打撃力向上を求める。そんな思いも理解する扇の要は、春季キャンプ直前、城島健司球団会長付特別アドバイザーに自ら頼み込み、打撃の直接指導を受けることが実現した。

 城島アドバイザーが宮崎に滞在していたキャンプ前半、連日のアーリーワークも含めて付きっきりで教えを受けた。「今まで味わったことのない時間を過ごさせてもらった」と甲斐。キャンプ中の実戦、オープン戦を通して21打席連続無安打と序盤は苦しんだが、城島アドバイザーからは「目の前の1打席よりも、1年間の500打席を考えてやれ」と助言を受けた。12発を放った昨季は右方向のアーチはゼロで、11本塁打の一昨年も右方向は1本のみ。「やろうとしてきたことができた。今後につながる」。城島アドバイザー直伝の右方向への打撃で、甲斐が今年こそ進化を見せる。

写真=湯浅芳昭
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