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巨人・鍬原拓也 完璧リリーフを続ける遅咲きのドライチ/開幕一軍の喜び

 


 スポットライトのまぶしさも、その影の暗さも知っている。鍬原拓也は2度の育成落ちを経験したが、プロ5年目で初めて開幕一軍メンバーに名を連ねた。

「昨年、支配下になって1回も一軍に上がれなかった。オフにまた育成と言われ、『この悔しさで、来年どうやるか』と考えて自主トレからやってきた。悔しくて、反骨心がすごく湧いた」

 2018年に中大からドラフト1位で入団した右腕は、1年目にプロ初勝利を挙げるも、一軍に定着できず、3年目までで26登板、2勝(3敗)にとどまった。2020年8月に右ヒジの肘頭骨折を負い、手術。育成契約を結び直し、リハビリを乗り越え、昨年8月に支配下復帰したが、ファームで結果を残すことができず、一軍登板がないままオフに2度目の育成落ちとなった。

 そのオフは菅野智之の下に弟子入りを志願し、沖縄で合同自主トレを敢行。「意識、技術的なこと、いろいろなことを菅野さんに教わってつかんだものがあった」と、エースに学び、自信を取り戻した。

 春季キャンプから紅白戦や二軍戦などを含めて9試合連続無失点を記録して、また支配下に復帰。開幕後も好調を維持し、3月29日のヤクルト戦(神宮)では2点リードも一打同点の8回二死二、三塁で起用され、オスナを直球で押して遊ゴロに仕留めた。見事な火消しに原辰徳監督は「あの場面で自分の投球ができる。素晴らしい」とうなった。

 4月6日の広島戦(マツダ広島)でも1点リードの8回二死二塁で三番手として登板。四番のマクブルームを見逃し三振に斬って取った。この試合で開幕から6戦連続無失点。ピンチで完璧リリーフを続ける「遅咲きのドライチ」に、ファンの期待も膨らんでいる。

写真=BBM
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