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ソフトバンク・田上奏大 『THE BLUE HEARTS』の『夢』に乗せて。支配下返り咲きからのプロ初登板/“春の誤算”喜怒哀楽

 

育成再契約から半年たたない間に、支配下昇格、プロ初登板初先発も果たした田上


 うれしい誤算とはこのことだろう。先発陣に超新星が登場した。4月12日のロッテ戦(長崎)。19歳の田上奏大がプロ初登板初先発のマウンドに上がった。自己最速を更新する155キロをマークし、6回途中2安打無失点。初勝利こそつかなかったが、堂々のデビューを飾った。「すごい先輩たちと野球ができて、お客さんもいっぱいいて。夢見心地というか、ずっと楽しかったです」と初々しい笑顔が印象的だった。

 背番号70を奪い返して、一軍のマウンドをつかんだ。履正社高3年春に投手に本格転向。浅い投手歴ながら高い潜在能力が目に留まり、2021年にドラフト5位で入団した。しかし、わずか1年で戦力外通告を受け、育成契約に切り替わった。悔しい気持ちを胸に秘め、背番号156を背負い、今季はウエスタン・リーグの開幕投手に大抜てき。2試合で2勝を挙げると、一軍の台所事情も加わり、短期間での支配下再契約を勝ち取った。すぐにデビュー戦も決まり、「支配下になってからあまり日にちもたってないけど、正直なんか夢のような話。自分の持ってるものを全部出したい」と誓った。

 デビュー戦は叔父でソフトバンクの捕手としても活躍した現・大産大付高の田上秀則監督も駆けつけた。09年には26本塁打で捕手部門のベストナインにも輝いた叔父と同じ登場曲『THE BLUE HEARTS』の『夢』に乗せて、同じ背番号70で、真新しいマウンドに上がった。「いつか叔父さんを超える選手になる」。夢への第一歩はホークスファンの記憶にも深く刻まれた。

写真=湯浅芳昭
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