昨季13勝を挙げて新人王に輝いた左腕が波に乗る。宮城大弥が4月20日の
ソフトバンク戦(京セラドーム)で今季初白星を手にした。7回1失点の好投で、開幕4戦目での初勝利に「やっと勝てて、本当にうれしい。勝ててない分、勝ちたい気持ちが強くあった」と安堵の表情を浮かべた。
開幕から3試合で白星をつかめず、苦しんでいた20歳だが、冷静な投球で白星を手に。バクバクの緊張で初球を投じたが、捕手からの返球を受け取ると、バックネット裏の電光掲示板に目をやった。この日は「144」の数字があった。
「スピードガンめちゃくちゃ見ます。今のボールが145キロで、さっきのは139キロか……とか。投げた感覚と数字を合わせる感じです」
優れた“体内時計”で球速を操る。球場により、表示速度に微増微減があるそうで「前の日に先発した投手に数値の感覚を聞きます」と準備は欠かさない。
今季初勝利を挙げた4月20日の最速147キロで最遅は99キロ。
「スピード勝負のタイプじゃないので。あくまでも確認で(表示を)見るだけ。僕の特徴は緩急です」
150キロを超える直球も投じる20歳左腕だが、自身の現在地を細かくチェック。マウンドで心拍数が上がっても、落ち着いた投球ができる。
マメな青年だ。4月10日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)で投げ合った同学年の
佐々木朗希が完全試合を成し遂げると、迷わず、連絡した。「おめでとう……!」。自身は、敗戦投手だった。プライドを捨て、リスペクトの精神で、連絡を入れた。5月5日に疲労を考慮され一度、登録抹消されたが、心優しき左腕が再登録後に本領を発揮する。
写真=BBM