佐々木朗希が4月10日の
オリックス戦(ZOZOマリン)で史上16人目となる完全試合を達成したが、そんな快挙とともに女房役を務めた松川虎生のリードを称える声も大きくなっている。
周囲を驚かせた配球がある。4回二死からの
吉田正尚と対戦した打席だった。13者連続奪三振のプロ野球記録を達成した中で、10個目となる空振り三振を奪ったシーンだ。
松川は振り返る。
「正尚さんに、カーブを2球続けたところが、本当の分岐点だったと思う。予想していたところではなかったと思うので、カーブでストライクを取れたし、その後のフォークも生きたかな」
この試合で、それまで1球しか投げていなかったカーブを2球続けて追い込むと、3球目のフォークこそファウルとなったが、4球目の外角低めに落ちるフォークで空振りを奪った。
とても、この春まで高校生だったとは思えない。「サインは僕が出しました」と言い、20歳の先輩も「うなずいていたか?」と聞かれると「はい」と胸を張るほどの配球となった。
オープン戦から全登板試合でコンビを組んでいる佐々木朗も試合後、「最後まで松川を信じて投げました。吉田選手のカーブとかも松川のサインなんですけど、ああいったところが次の打席にも生きたりしてると思う」と後輩ルーキーに感謝した。
リード面だけではない。強肩で、ワンバウンドを体で止めるブロッキングは天下一品の技術を持つ。150キロに迫る超高速フォークを簡単にキャッチできる18歳がいるからこそ、怪物右腕のすごみは増すのだった。
写真=BBM