驚異的な守備範囲の広さは、吉川尚輝の代名詞として定着したと言っていいだろう。
その華麗な二塁守備にあらためてスポットライトが当たったのは、3対1で勝利した4月19日の
広島戦(東京ドーム)だ。「尚輝の守備が良かった。頭脳的で、状況判断ができたダブルプレーを2つ取ってくれましたね」と絶賛したのは
原辰徳監督。首位攻防カードの初戦で、再三のピンチをしのいだ立役者が吉川だった。
2回一死一、二塁では
大盛穂の二ゴロをまず一塁に送球して挟殺プレーに持ち込み、併殺。4回には
小園海斗が放ったライナーを背走しながらジャンピングキャッチ。7回一死一、三塁では
上本崇司の小飛球をワンバウンドさせて捕球し、進塁をためらった一塁走者にタッチして自ら一塁を踏むという、珍しい併殺を完成させた。吉川は「守備で相手の流れを切ることができて良かった」と胸を張った。
2017年の入団時から守備力の評価は高く、「守備からリズムをつくれたらいい攻撃もできると思う。守備は一番大事にしている」と自信を持つ。オフには同僚の
中山礼都、
DeNAの
森敬斗が守備の教えを請うために弟子入りしてきた。
同じ二塁手で中京学院大の先輩でもある広島・
菊池涼介の壁は高いが、今季は念願のゴールデン・グラブ賞を狙える可能性も十分にあった。だが、5月4日の広島戦(マツダ広島)で四球を受け骨挫傷で離脱。同日時点でリーグ最多の44安打と攻撃面でもキーマンだっただけに早期復帰が待たれる。
写真=BBM