自らがおとりになった。二、三塁間で挟まれて1点を奪う。木下拓哉のプレーが5月初めての勝利をチームに呼び込んだ。5月1日の
広島戦(バンテリン)、2点リードの6回。一死二、三塁の場面だった。木下拓は二塁走者だった。
投手の
柳裕也の打球は浅い中飛。タッチアップには際どい当たり。それでも三走・
高橋周平が激走で生還したが、それをアシストしたのは木下拓だった。広島の中継プレーは本塁より、三塁のタッチアウトを優先。高橋周よりも先に木下拓を刺せば得点は認められない。それを見越して木下拓はスタートし、意図的に二、三塁間で挟まれた。その間に高橋周がホームを陥れた。
「どうしても1点が欲しい場面でした。微妙なタイミングだと思ったので、周平のスタートを確認してから走りました。結果、点が入って良かったです」と木下拓が言う。高橋周がセーフになって3点差にリードが広がり、打点のついた柳は次の7回まで投げ抜いて、チームトップとなる3勝目を手に入れた。
指揮官は選手が考え、選手が主導するプレーを重んじる。
立浪和義監督は「どうしても1点が欲しい場面の中で、木下なりに考えたプレーだったと思う」と話した。トライ&エラーを許され、理解するチームは成熟する。チームは4対0で勝った。立浪ドラゴンズは日に日に成長していく。
写真=BBM