交流戦の順位が今後のチームを大きく左右する。ここでも先発ローテーションの軸を任されるのは、今季3度目の開幕投手を務めた石川歩だ。4月10日の
オリックス戦(ZOZOマリン)で
佐々木朗希が完全試合を達成したことで、注目は3年目の怪物に集まっているが、伝家の宝刀シンカーをウイニングショットに持つ右腕も、ここまで安定感抜群の成績を残している。
決して口数の多いタイプではない。石川自身は「投手陣を引っ張っている感じなんてないです。いい投手はたくさんいるので……。負けないように必死という感じです」と控えめだが、紛れもなく背中で先発陣をけん引している。
昨季までのプロ8年間で、侍ジャパンのメンバーとしてWBCに出場するなどの実績も残してきた。ルーキーだった2014年から3年連続2ケタ勝利を記録し、交流戦でも昨季まで通算10勝7敗、防御率3.28をマーク。昨季は6月に右ヒジ関節クリーニング手術を受けたため、交流戦に登板することはできなかったが、今季は万全の状態で普段と異なるセ・リーグの球団との対戦に臨み、5月24日の
広島戦(マツダ広島)では7回無失点で今季4勝目を挙げた。
開幕前から
井口資仁監督も「石川が先陣を切ることで、ほかの若い投手がそれに続くことができる」とエースとしての役割を期待している。若い投手だけでなく、高卒捕手・
松川虎生とコンビを組んで、マウンドからリードすることも期待される。
「松川がいつもいい感じにリードをしてくれる」
18歳ルーキーが出すサインに、34歳のベテランは基本的に首を振ることをしない。交流戦でも、そんな姿勢は変わらないだろう。
写真=BBM