週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

中日・京田陽太 自分自身を見つめ直して/離脱組の現状

 


 京田陽太の顔に不振と書いてあった。スイングでも守備での足の運びでもない。プレーの質より、浮かべた表情が立浪和義監督のカンに障った。

「打つ打たないは調子が悪いから我慢しているけど、守れなかったらやっぱりね。顔を見ていてもまったく精彩がない。そうであれば二軍でやり直してこいと伝えました」

 5月4日のDeNA戦(横浜)。「帰れと言われました」。京田は荷物をまとめて、電車に乗った。車内で何を考えるか。開幕から26試合に出て打率.157、盗塁はゼロ。守備でも正確さを欠いた。打てず、守りにも陰りが出ていた。張り詰めた気持ちがフッと切れるようだった。そして、切った。

 それから3日後のウエスタン・阪神戦(甲子園)。試合前に片岡篤史二軍監督に下半身のコンディション不良を訴えて、名古屋へ帰った。

 そこからは、心身ともにリフレッシュ期間。「頭と気持ちの整理をしたいです」。5月は、一、二軍問わず、試合とは距離を置いた。打って、走って、投げる。野球の原点を見つめ直す日々を送った。

 プロ6年目。これほど長期間、二軍選手と汗を流すのは初めてだ。京田は「戦う顔をしていない、ということでした」と振り返る。妻も2人の子どももいる。野球しかないのは十分に分かっている。「成績にかかわらず、試合に出て、野球をしていられるのが幸せでした」と口にした。

 今は二軍で調整を続け、一軍に呼ばれるのに相応しい成績を出すまで頑張るしかない。表情に締まりが出て、結果も出てきたとき、復帰時期も見えてくるに違いない。

写真=BBM
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング